読んでつくる知の体系

読んだ本、お勧めしたい本を紹介。ノンフィクションが多め。

悪魔の口づけ『キス・キス【新訳版】』ロアルド・ダール

 

ロアルド・ダールという作家をご存知ですか?

児童書の分野で、『チャーリーとチョコレート工場』を書かれたのは実はこの人。ティム・バートン監督の映画が日本でも大ヒットしましたね。

他にも『007は2度死ぬ』の脚本も手がけたり、そして今回紹介する短編小説。物書きとして幅広い分野で活躍なさった方です。

 

短編小説の中には、「えっ、こんな結末?」となる話が多い印象でした。

「天国への道」では、平凡で何不自由なく生活する(一つだけ問題点を挙げるとすれば、夫がサディストな)夫婦の中に潜む悪意が、コロッと物語を締めくくる。

「豚」では、世間知らずのヒーローがこれから活躍するぞ、と物語が勢いづいてきたところでまさかの展開になったり、他にも夫婦の物語は、何か奇妙な力が働き、妻の本性があらわれる。

後味の悪い物語もあるので、読まれる際には心が掻き乱される、そんな覚悟を持って読んでもらいたい。

淑女の甘い口づけと見せかけて、悪魔に噛みつかれたような、口の中でピリピリと弾け飛ぶ少しスパイスの効きすぎた文章、堪能してみてはいかがだろうか。