読んでつくる知の体系

読んだ本、お勧めしたい本を紹介。ノンフィクションが多め。

大好物『「森の人」が食べるブドウの味』篠田節子


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タイトルを見て、以前に読んだ

 

www.kusyan.com

 

と似たようなジャンルだと思い即購入。

ボルネオや熱帯雨林の文字が書かれているとついつい読みたくなってしまう。行ったことこそないが、読んでいると頭の中で妄想が広がっていく。大好物だ。

 

小説家である筆者が、物語の題材を探しに世界各地を飛び回り、小説のメインストーリーから外れた情報、書ききれなかったことを、現地で見、感じたことを描いたのが本書である。ワインヤードや熱帯雨林、少し危なげな街を歩き、現地の方に話を聞き、土地の空気を吸い込み、あらゆるものに触れてみる。小説家だけあって、書かれている文章にグイグイ引き込まれる。

 

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人間の活動は、原則昼間だが、ジャングルの営みは24時間途切れることはない。ガイドに率いられてのツアーは、夕刻、真昼間、早朝と頻繁に行われ、その都度、熱帯雨林は全く異なる顔を見せてくれる。 夕刻のオランウータンの寝床作り、月明かりの下でのムササビの飛行、早朝の水たまりに集まる無数の鳥。四六時中活躍しているのはヒルくらいなものだ。聞きしにまさる狂暴さ、というか、糸より細くバッタのように俊敏な動きで、近くを通る者の体に飛び移っている。それまで抱いていたグニャグニャのナメクジ様の虫というイメージを見事に裏切ってくれた。

 

 

 

ロッジ敷地内のつり橋に辿りついたとたん、度肝を抜かれた。直径7、80センチはある、ボール状の暗紫色の房が通せんぼしているのだ。巨大なブドウ? 「ブドウじゃない。オランウータンや他の動物の餌になるように植えているんだ」 ・・・立ち上る匂いはブドウそのものだ。どうにも我慢できず翌日食べてみた。

 

 

一種のアトラクションのように聞こえる、ここまさに「熱帯雨林」。

 

「これはこんなもの」「これはこうあるべき」のイメージがひっくり返る、新しいもの、ことを発見した時のような読後感が残った。

 

また他に、ジャングル、熱帯雨林についての面白い本があったら、このブログでも紹介していこと思います。