指示待ち人間をつくらない『自分の頭で考えて動く部下の育てかた』 篠原 信
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上司の悩みを聞いていると、「部下がなかなか育たない。」「自分の頭で考えたり動いたりする意思をちっとも感じない。」自分で考えて行動できないことが、悩みのタネとなっているようだ。
しかし筆者の篠原さんの周りには、自分の頭で考えるスタッフや学生さんが多く、「指示待ち人間」は一人もいないという。
なぜこのように差が出てしまうのか?
なぜ人は指示待ち人間になってしまうのか?
自分から意欲を持ち、自分で考え、行動する人間にそうしたらなれるのだろう?
本書はこうした問いに、筆者自身も指示待ち人間だった体験から、どうやったら部下を育てられるのか?を上司の立場から紐解いていく一冊である。
上司になりたての方や、上司をやっている上で困っている方、また子育てに悩んでいる方にオススメしたい。
篠原さんは、指示を求められたとき、「どうしたらいいと思います?」と反問するのが常。まずは相手の意見を聞くようにする。指示待ちの人はこの反問に戸惑いを感じるが、引き下がりません。
「いや、私もどうしたらいいか分からないんですよ。でも何かしなきゃいけないから考えるきっかけがほしいんですけど、何か気づいたことあります?」と何でもいいから意見してくれたらありがたい、という形で意見を求めるそう。そうするとおのずと何か発言してくれる。
その時に大事なことが、「あ、なるほどね、その視点はなかったなぁ」「今の意見を聞いて気づいたけど、こういうことにも注意が必要ですかね」と、相手の意見がプラスになったと相手に伝えること。そうするとおずおずしたところがなくなり、意見を口にしてくれる。
もちろん希望とずれた、的外れな意見も出てくることがある。
そんな時にも「なるほどね。ただ今回は、こういう仕事を優先したいと思っているんでうよ。その方向で考えた場合、何か別の意見がありませんかね?」と私が何を求めているのかを相手に伝える。決して頭ごなしに否定はしない。
こういうやりとりをしているうちに、私が何を考え、何を求めているのかが、だんだん想像できるようになってくる。
まとめると次のステップになる。
1.私の考えを折に触れて伝える
2.後は自分で考えて行動してもらう
3.失敗があっても「しよーがない」とし、改めて私の考えを伝えて次回から軌道修正してもらう
この3つの注意点を繰り返すだけで、自分の頭で考えて行動できる人になる。
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部下に仕事を教える上で、上司にも心構えが必要だという。
部下には、手っ取り早く「次はこうするんだ」と指示をどんどん出したほうが仕事は早く済むと考えている上司は多いだろう。しかし、早そうに見えるその指示が、結果、指示待ち人間になっていつまでもあなたの手を離れない部下になる原因になる。
指示を出すというのは、自分で答えを見つける喜びを奪う行為である。
推理小説を読もうとしたら犯人をばらされてしまうのと同じ。仕事も実は同じなのだ。苦労はしても自分で答えを見つけたい。自分の力で仕上げたい。なのに上司がどんどん先回りして指示という名の答えを出してしまったら、自分の考える余地もなくなり、それを発揮できなくなる。それだと仕事という名の推理小説はつまらなくなってしまうのだ。だから部下に事細かく指示を出すのをやめよう。ではどうする?
部下に教えるときは、指示をなるべく出さず、質問形式で部下にどうしたらいいか考えてもらうようにする。
「このままだとこんな結末になっちゃう気がするね。それはちょっとまずいからどうしようか?」
「これどこから手をつけたらいよいか、さっぱり見当がつかないね。仕方ないから、まずは気づいたことを何でも列挙してみようか。何かある?」
そうやって答えを言わずに、部下に考えるように促す。もし部下がトンチンカンな答えを言っても、「おお、面白いね!他にはある?」 とどんどん意見を聞こう。
質問形式には
①なぜ問題だと考えるのか、質問の前提として理由を伝えることができる。
②何かしら答えをひねりださなければならないので、「能動性」を部下から引き出すことができる。
③自分の頭で考えたりすることで、記憶がしっかり刻まれる。
上司が「正解」を言ってしまうより、理由や情報を提供しながら質問し、部下に考えてもらうよう促し、自ら答えを導き出してもらう。
「人に指示ばかりする人の周りには、仕事のできない人が集まり、
人に指示しない人の周りには、仕事ができる人が集まる」理由がとてもわかりやすく書かれている。読んでいて「なるほど!」と言わざるおえなかった。
家庭や職場に一冊は欲しいところである。